Bulletproof Musician : 完璧主義のためのガイド

Bulletproof Musician という英語のサイトの記事を、ランダムに翻訳するシリーズです。ミュージシャンのメンタル面に関する内容を扱っています。音楽をやっていない方でも、自己管理やマインドの問題に興味があるなら、是非ご一読下さい。



Do You Have What It Takes to Be a Perfectionist?
http://www.bulletproofmusician.com/do-you-have-what-it-takes-to-be-a-perfectionist/


完璧主義について書かれたものは、山のように存在します。
しかし、そのほとんどは偏った内容のものです。
たいていは、完璧主義について否定的な内容だからです。
もちろんそうした意見もあるでしょう。
しかし、心から完璧主義を目指す人たちの存在が、そこでは見過ごされています。
そこで今回は、完璧主義者になるための方法を述べたいと思います。


完璧主義の定義

完璧主義は、"一連の行動において過度に高い基準を設け、非常に厳しい自己評価を行う傾向 (Frost, Marten, Lahart, & Rosenblate, 1990)" と定義されます。

まずは、自分がこの定義に当てはまると信じなくてはなりません。
その上で、大変な努力と忍耐を覚悟するが必要あります。
何でもそうですが、完璧主義者になることも、簡単ではないのです。


2つの心得

完璧主義者を目指すなら、心得ておくべきことが2つあります。
まず一つ目は、評価基準を可能な限り高く設定することです。
実現困難に見えて努力のしがいがあるほど、良いでしょう。
実際、この時点で脱落する人も多いはずです。

二つ目として、 何事にも満足しない精神力が必要です。
どんな些細なミスも見逃さないようにしてください。
普通であれば合格点であるようなケースでも、可能な限りミスと見なして、妥協せず追求する習慣をつけましょう。
この、小さな問題を重要課題として捉え直す才能こそが、完璧主義者の核となる部分です。


完璧主義者になるための5つのステップ

ステップ1
できるだけ大きな目標を設定してください。
一生かけても到達不可能に思えるくらいが望ましいでしょう。

ステップ2
練習中に完璧に演奏できなかった箇所を、残らず特定してください。
全ての細かいミスを検証し、上手くいった部分は無視して構いません。

ステップ3
演奏中、または演奏していない時でも、常にミスをした箇所を意識するように習慣づけます。
少しでも気になる点があれば、その演奏は失敗だったと考えるべきです。
そして、より厳しく取り組むのであれば、上手くいったと思った時でも、それは偶然だとして記憶から消し去るようにしてください。

ステップ4
賞賛の言葉はすべて無視して下さい。
それはお世辞か、自己顕示欲から出たものです。
どちらにせよ、彼らの評価基準は低すぎます。

ステップ5
次のステージが迫ってきたら、過去のミスや失敗を思い出して復習します。
その時の落ち込んだ気持ちまでも、しっかり見つめ直すことが重要です。
上手くいった場面を思い出すことは、時間の浪費に過ぎません。


方法自体はシンプルです。
これらを実践すれば、着実に完璧主義者に近づいていけるでしょう。


マイナス面

完璧主義は魅力的です。
しかし残念ながら、実際は良いことばかりではありません。
いくつかの欠点についても述べておくべきでしょう。

欠点1: 失敗が日常となる
高い基準を設けることで、当然ながら、より多くの失敗を経験することになります。
どんな演奏をしても、"本来"なら"できるはず"の目標には届かないのですから。

欠点2: 自信が失われてゆく
失敗が続くと、自分には才能がないのでは、と思い込むようになり、次第に自信が失われていきます。
これは、大きなステージやオーディションが近づいた時などに顕著です。
残り数日、あと数時間と迫るうちに、できるだろうか、間に合うだろうか、と様々な不安が浮かんできます。

欠点3: 神経がすり減ってゆく
自信がない状態では、恥をかくことを極端に恐れるようになります(いい演奏をしよう、という考えはまず起こりません)。
心配や不安によって神経がすり減ってゆき、どんどん疲弊していくでしょう。
下手をすると、肝心の本番の前に、疲れ果てて投げ出してしまうかもしれません。

欠点4: 演奏の質が落ちる
そして本番がやってきます。
心理面も感情面もガタガタで、理想とはもはやかけ離れた精神状態です。
演奏が上手くいきそうな時にも、どうしても失敗の記憶が頭をよぎります。
それが妨げとなり、また失敗を誘発してしまうのです。


完璧主義の資質を持たない人へ

完璧主義が向かないと思うなら、こちらの方法を試してみてください。

ステップ1: 目標は高くとも、自分を追い込まない
本番で常にベストの力を出せるとは考えないことです。
80-90%くらいが丁度いいでしょう – 特にプレッシャーのかかる場面では。
緊張状態で、能力の限界まで自分を追い込むのは、非常に危険なことです。

ステップ2: 良い部分に目を向ける
どれだけ多くのミスがあったとしても、良い部分が皆無ということは有り得ません。
上手くいった部分を意識するようにすれば、次回の演奏でそこを伸ばしていくことができます。

ステップ3: 自分を信じる
いい演奏をしたら、自分を褒めてください。
運が良かったから、などと言うことはやめるべきです。
それまでの努力、演奏の時の集中力を、信頼してください。
当然の賛辞から逃げ、自分を騙すことはやめしょう。
そのままでは、いつまでも自信が持てず、演奏が向上することもありません。

ステップ4: 才能の有無は考えない
上手くいかなくとも、才能がないなどと思わないことです。
失敗しても、その理由が分かれば問題ありません。
例え理由が不確かなものであっても、そう考えることが成功に繋がるのです。


不安かもしれませんが、これこそが、やる気を伸ばす思考法なのです。
対して、先に挙げた考え方はあきらめに繋がります。
そして、あきらめて何かが向上することは、ありません。


The one-sentence summary

"人間は、できることしかできない" - Neal Newman博士


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