N.O.ジャズ奏者たちのセッティング

僕の知っているニューオリンズ・ジャズのプレイヤーの使用マウスピース等を、まとめてみます。


Tom Fischer 

5JB
2-2半のリード(リードや楽器には無頓着で、ブランドはバラバラです。もらったリードを使ってたりもします。)

Evan Christopher 

5JB
ヴァンレン ル・ピック 3半

Chris Burke

5JB
Rico Reserve赤箱 2か2半、どっちか忘れました。

Tommy Sancton

B45 (ライヤーだったかもしれません)

Orange Kellin

B45

Michael White

Beechler Diamond #11(#11はカタログにない特注で、開きは2mmくらいあります。ちなみに、5JBの開きが1.47mm、B45が119.5mm、5RVが106,5mmです。)
リードは2番です。

Bruce Blackman

Beechoer Diamond #11
ヴァンドレン青箱3半

Lous Ford

Beechoer Diamond

Brian O'Connell
Portnoy BP2(クラシック系のマッピのようです。開きは広くありません。eBayで$7で買ったと言っていました)
ヴァンドレン青箱1番
ダブル・リップ・アンブシャー

Tim Laughlin

特注で作ったマウスピース。誰に頼んだかは忘れました。 


これは、僕がニューオリンズにいた3~4年前の情報です。

エヴァン・クリストファーは、以前はビーチラーや個人製作者に特注したのを使ってました。
マイケル・ホワイトはしょっちゅうマウスピースを変えます。
僕が向こうにいた時も、一時はARBのGreat Neck Originalを使っていましたし、日本に来た時に楽器屋に連れていってら、そこでもマッピを購入してました。


ヴァンドレン5JBは、開きが大きくジャズ用とされていてます。

確か、本体にもJazzの文字が入っていたと思います。
でも、日本のジャズ奏者でこれを使ってる人は、実はそんなに多くないんじゃないでしょうか。
特にモダン・ジャズだと、クラシック奏者と変わらないセッティングにしているケースが多いと思います。
サックスと持ち替える人は、吹奏感を近づけるために使ってるかもしれませんが。

ニューオリンズ・ジャズの場合は、やはり5JBを始めとした開きが大きいマッピを使うことが多いです。

屋外や、うるさい酒場などで演奏することが多いのと、トランペット、トロンボーン、時にはサックスと同時に演奏するので、突き抜けるような種類の音量が必要だからでしょう。


5JBと並んで、ビーチラーも定番です。

マッピの歯が当たる部分に白い菱形があって目立つので、遠くから見ても分かります。
サックス用ですが画像を載せておきます。

ビーチラーはフェイシングが選べるます。
5JBよりもさらに大きい開きも選べるし、マイケルやブルースのように、カタログにないフェイシングを特注するプレイヤーもいます。


アメリカでは、5JBより開きが大きいマウスピースも多く出回っています。

ニューオリンズに限らず、需要があるんでしょう。
日本では、5JBさえ置いてない楽器屋が多いのに。

ちなみに、開きの大きいマウスピースには薄いリードを合わさるのがセオリーですが、エヴァンとブルースは厚い3半のリードを使っています。

ブルースは、自分は唇が分厚いから、と言ってました。
確かにものすごく分厚い唇をしています。
彼は、音色もエドモンド・ホールみたいで独特ですし、普通じゃないセッティングなのも、うなずけます。
エヴァンはセッティングには無頓着な方なので、薄いリードも使うんだと思います。


ついでに、過去のプレイヤーのセッティング情報も。

昔はマウスピースの種類も少なく、自分で削って開きを大きくすることもあった様です。

George Lewis、Johnny Dodds 

5番など、とにかく硬いリード 

Omer Simeon 

2半~3のリード      

Edmond Hall 

マッピは標準的な開きのもの
リードは、ラヴォーズのミディアム・ハード

Raymond Burke  

マッピは、自分で削って開きを大きくしたもの
リードは3番

Willie Humphrey

マッピの開きは普通
リードは1番 

Barney Bigard

マッピの開きは普通
薄いリード 

Sidney Bechet 

薄いリード
(ブライアン・オコネルから聞いた話です。でも、「ジョニー・ドッズのリードは硬すぎてべシェ以外は誰も音を出せなかった」という逸話もあります。そうだとするとべシェも硬いリードを使っていたのかもしれません。)

あと、ジョニー・ドッズとウィリー・ハンフリーはダブル・リップ・アンブシャーを使っていたそうです。

ダブル・リップは昔のプレイヤーの話によく出てくるので、わりとポピュラーだったのかもしれません。
ちなみに現在のニューオリンズでは、ブライアン・オコネルが唯一のダブル・リップ奏者です。


こうして並べてみると、結局プレイヤー次第なんだな、と思います。

好きなプレイヤーと同じセッティングにしたところで、音が近づくとは限らない。
同じセッティングでも、吹き手によって全然違う音になります。
吹く人間の骨格など身体の作りも関係すると言いますしね。

けっきょく、自分で吹いてみるしかありません。

しかし日本ではマウスピースの種類が少ないので、吹いてみることすら出来ない現状なんですが。

個人的には、Jody Jazzが気になっています。

スポイラーというものをマッピ内部に装着することで、プロジェクションを増強する、という。
でも、どこにも売ってない!
アメリカから取り寄せて試すか。
でも送料かかるしなー。

と、悶々としております。

進展あれば、また書きます。

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