演奏の朝、靴を磨くわけ

朝起きて、靴を磨きました。
今夜のライブで履く黒い革靴です。

昔見た、ニューオリンズのドキュメンタリーの冒頭のシーンが、忘れられません。
クラリネット奏者のマイケル・ホワイトが、テーブルの上で靴を磨いています。
ブラス・バンドの演奏に出かけるためです。
何か特別な集まりでの演奏だったように思います。

昔からニューオリンズでは、地域ごとのセレモニーや集会でバンド演奏があります。
にぎやかに盛り上げるのとはまた別の、伝統的スタイルでの演奏も多いです。
そういう時には、ミュージシャンの服装はブラック&ホワイト。
日本でいえば、一般的なお葬式での服装です。

今では、そうした伝統的な演奏の機会は減ってきています。
それでも、必須ではなくても、ブラック&ホワイトを選ぶミュージシャンもいます。
それは、伝統への敬意。

マイケルは、現地でも数少ない、伝統を大事にするミュージシャンです。
話していても、ニューオリンズ音楽への愛と、それを継承していくという自負に感動させられます。
そのマイケルが、演奏の朝に靴を磨く姿が、すごく印象深かったんです。


帰国してから僕も、ニューオリンズ・ジャズの演奏のときはブラック&ホワイトにしよう、と考えました。
でも、東京の町で黒スーツだと、落ち着かないんですよね。
お店でも、ミュージシャンじゃなくてウェイターぽく見えてしまうし。
なので結局、やめました。

でも、靴は磨きます。
いつもマイケルの姿を思い出します。
ニューオリンズの伝統を継承するんだ、という気持ちになります。


残念ながら、伝統的なニューオリンズ・スタイルのライブの機会は、少ないです。
現状「近藤哲平トリオ」だけでしょう。
今晩お暇な方は、是非。

3/12(木)西荻窪ミントンハウス
http://www7b.biglobe.ne.jp/~mintonhouse/
近藤哲平トリオ
w/ 坂本誠 bj 関野恒夫 b
チャージ2000円
19:30〜22時過ぎまでやってます。
 

※写真は、ブラスバンドで演奏するマイケル・ホワイト

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