音楽の好み - ヒネモスとNRQ


数日前、ヒネモスというバンドを見に行きました。
ショピンの、高橋ペチカさんのバンド。ドラムもショピンのタケルさんです。

で、自分の音楽的記憶がいろいろと刺激されたので、思いつくままに書いてみます。
固有名詞が多くなると思います。


もともと、少し前に、ショピンとコロリダスで一緒にライブをやって、その打ち上げで、ペチカさんと意気投合しました。
通ってきた音楽があまりにも似通っていたんです。しかも、だいぶマニアックなやつ。
パスカル・コムラード、オブ・モントリオールに始まり、ボンゾ・ドッグ・バンドにモンティ・パイソン、ケヴィン・エアーズ、マイク・バット、ウォンブルズ、そしてロイ・ウッド。なんと岡村靖幸まで!
昔タワレコ新宿店の上にアヴァン・ポップみたいなコーナーがあったよね、って話とかもしました。
あ、ピーター・アイヴァースやレッド・クレヨラ辺りはどうかな。こんど話してみようっと。
それで、トイ・ポップ的な10人くらいの大所帯バンドをやってる、と言う。それは見に行かないと!


予想通りの楽しいバンドでした!
「おもちゃ箱をひっくり返したような」って言いますが、ヒネモスは実際に無数のおもちゃを使って演奏します。音の出るものは何でも使っちゃう。

インストバンドです。
コード楽器はピアノ、アコーディオン、ギター。
管楽器が、サックス、トロンボーン、チューバ。
あとピアニカにノコギリ、おもちゃその他。
人数も多いので、どの楽器がどこで鳴ってるかわからないくらい。
曲もサウンドもポップで素敵です。
これはやっぱりライブで、しかもステージが見渡せる場所で見た方が楽しいね!

音楽を始めた頃、こんな方向のバンドやりたかったんですよ。
わかりやすく言えば、ビートルズのサージェント・ペパーズや後期ビーフハートみたいな。
僕はもともとサックスやってて、バンドのアレンジを広げるために色んな楽器に手を出し、クラリネットに行きついたんですよね。
だいぶ遠くまできたもんだ。


対バンはNRQ。

こちらもインストバンド。
編成は、エレキギター、ウッドベース、ドラムに、二胡。
名前はNRBQを連想させるし編成面白いし期待したんですが。

二胡って楽器は、バンドセッティングだとイロモノに思われがちです。珍しいから。
で、残念ながら、その先入観を打ち破るほどではありませんでした。
バンドのアンサンブルとして、二胡である必然性が感じられなかったんですよね。
音色の面白さも、数曲も聴けば新鮮味はなくなってしまいます。
インストバンドの場合、演奏力で聞かせるというパターンもあるけど、そういうわけでもない。センスはいいんけど、それだけではずっと聞いてると飽きてしまう。

ただ、ドラムの中尾勘二は、圧倒的に素晴らしかった!
僕が管楽器を始めたきっかけの一人は、元じゃがたらの篠田昌己です。
中尾さんは篠田昌己の名作「コンポステラ」にも参加してるし、その周辺の様々なバンドでいろんな楽器で長く活動してきている人で、他にもトロンボーンとか色々やってるけど、メインはサックスです。たぶん。
ライブでドラムやってるのは初めて見ました。
いやー良かった!
ドラムって、その人のグルーヴがモロに出ます。
サックス奏者、ドラマー、トロンボーン奏者、というより、いいミュージシャン、というのが似合う。
そういうの、憧れます。

バンドの音楽性としては、それこそ中尾さんが昔(僕がよく聞いてたのは15〜20年くらい前で、最近の活動は知りません)やってたような音楽を思い出しました。
あるいは、そのころN.Y.の先鋭的なジャズミュージシャン達がやってたような、「フリージャズから見たアメリカン・ルーツ・ミュージック」的な音楽。
ビルフリーゼルの初期とか。
なので、NRQについては、新鮮味よりも懐かしさを感じてしまいました。

そういう音楽、昔はよく聴いたんですが、残念ながら今はもうあんまり好みじゃないんですよね。
あと、僕の苦手な、中央線ジャズによくあるような予定調和の内輪ノリも、すごく感じてしまって。もしかしたら、もっと外側を向いたスタンスのバンドなら、ライブの印象も違ったのかもしれません。


たぶん、好みの問題なんですよね。
ヒネモスは、好み。
NRQは、そんなに好みじゃない。
中尾さんは、好みを超えて素晴らしい。

好みや内輪のサークルを飛び越えられるミュージシャンに、なれたらいいな。

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