あのパープル、ピンク、キミドリが許せない

電気屋に行ったんですよ。
新宿の、ヨドバシとビックカメラ。
年末ムード満点で、歩いてて楽しいし、つい何か買いたくなります。

しかし楽しい気分も束の間。
棚に目をやった途端、相変わらずどうしようもないデザインの商品しかなくて絶望します。
家電製品のデザインの酷さ。
あれは何なんですかね。

まず、いらぬ曲線。
なんで丸くするの?
円ではないんです。
なんか無意味にまーるくする。
とにかく曲線にすればいいと思ってる。
アホか!
デザインの根本が、80年代から変わってない気がします。

そして、色!
あの、意味不明な安っぽいパープルとピンクとキミドリ。
家電製品と文房具と工事現場の重機と、あと何だろう、とにかく特定のフィールドだけに根付いてる不気味な色。
幼稚園のクレヨン・セット基本12色に、あんな色なかったよ?
醜悪すぎます。

本当に昔から謎です。
普通に設計すれば、線は直線(もしくは円)になるでしょ?
普通に色をつくれば、クレヨンみたいな原色(あるいはシアンとかマゼンダとか)になるでしょ?
それを、わざわざ曲線にして、汚い色を作るわけですよ。
そして、それはおそらく「デザイナー」の肩書きを持った誰かの仕業なわけですよ。

デザインが仕事なんですよね?
デザインの勉強、したんですよね?
そしたら、その曲線が美的に醜悪なこと、分かりますよね?
その色が、全く美しくないこと、分かりますよね?

さらに信じられないのは、僕が実家を出た20年前から、ほとんど状況が変わってないということ。
そりゃ少しは向上したと思いますよ。
特に、一人暮らしを想定した商品には、デザインのいいものも増えました。
でも、主流は変わってない。

そしてそして。
いちばん驚くのは、美容製品。
美容売り場を歩くと、やたらと醜悪なピンクばかりが目につきます。
あーケバいケバいダサいダサい。
ダサいものを使って、美しくなれるわけないじゃん。
いくら物理的に肌が綺麗になったからって、全体から美のオーラが出てなきゃ意味ない。
それは、人に見せない物だから、とダサい物を使っているようでは、絶対に身につかない。


個人的に使う物では、例えばドライヤー。
もう嫌になるくらい底レベルのデザイン「しか」ない。
デザインやファッションの好きな人達の需要もそれなりに多いはずなのに、この体たらく。
みんな、どうしてるんだろ?
あの糞ダサいドライヤーを、家では目をつぶって使ってるのかな?
マイナスイオンとかやる前に、デザインがマイナス過ぎだよ。
ちなみに僕は業務用のドライヤー使ってます。
特別なデザインではないのに、大手メーカーのものより断然かっこいい。
ロゴがなければもっといいけど、それも目立たないから許容範囲です。

あと、アイロン。
これも救いようがない。
アイロンこそ、ファッション好きの人の需要があるはずなのに。
いまのアイロンは、一人暮らしを始めてから3台目ですが、なんと3台とも同じ機種ですからね!
買う度に、他に新しい物がないか探すんですが、ないんですよ。
ドイツDBK社のアイロン。
かっこいいでしょ?
重くて使いやすいんですよ。
そもそも、少なくとも20年間デザインが変わってないのが素晴らしい。
その間、日本の家電メーカーは何度もデザインを変更してるのに全く進歩していない。
僕が家に置いて許せるデザインが1つも出てないわけです。

もう本気で理解できない。
アマダナとか需要あるじゃないですか。
ちょっと新しめの綺麗な会社に行けば、受付の電話や計算機がアマダナだったりします。
無印の家電製品だって、デザインで選ばれてるわけだし。
大手メーカーが、デザインのいいものを安く出せば、売れると思うんだけど。
なんか政府レベルで大きなお金の絡む陰謀とか、関係してるんですかね?


家電業界は終わってる。
でも、けっきょく日本全体の美意識が低すぎなんですよ。
都会の、人の手が入った街並みを見ればわかる。
外国に行った人が、みんな街や建物がキレイだった、って言うじゃないですか。
僕も初めて外国に行った時、それはメキシコ・シティでしたが、あまりの美しさに感動しました。
新しい建物も、周りの古い建物と色が調和している。
とりあえずベージュにしとけば安全だろう、という思考停止のアホは、少なくともメキシコ・シティの建築業界にはいないようでした。

その後、他の国々にも行ったり写真や映像を見るにつけ理解しました。
メキシコ・シティが特別なんじゃなくて、日本が異常なんです。
笑っちゃうくらいに美的レベルが低い、というか、こだわりも主張も伝統も何もない。
伝統が断絶してて意思決定もできないなら、できる国に学べばいいのに。
モノマネが得意なくせに、なんで海外の美しいデザインは取り入れないのか。
それでいて、京都は美しい、とか言うけど、本当に美しいと思ってんの?
雰囲気に流されてるだけでしょ?
だって、京都を美しいと思う人が、あんな醜悪なデザインや色使いの家電製品を許せるわけないじゃん。

あと、外国人が東京のゴチャゴチャ感がいい、って言います。
ブレードランナーの町並みね。
あれ、interestingであって、beautifulではないですから。
変で面白い、という意味で、まあイロモノ扱いですよ。
決して、美しくはない。
カオス感を美しいと思う感覚も分かるけど、それは美的に美しいこととは別の尺度です。

こんな歪んだデザインに囲まれて育てば、そりゃ美しさに対する感性は育たない。
僕は、日本は音楽や芸術に関しては最底辺の後進国だと思ってますが(個々のレベルではなく、社会一般のレベルで見たら、です。)、そういう美的環境も影響してるんじゃないかな。

まあ、こんな国に産まれてしまったのだから、慣れないといけない。
普段は、色んな事を諦めの目線で眺めてますが、久しぶりに電気屋に行って、あらためて絶望が深まった次第です。

しかし絶望って言葉、冬に合いますね。
夏には絶望しなそう。
今度は夏に電気屋に行ってみたら、違う気分になるかもね。

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