Bulletproof Musician: 楽しさは幸福とは無関係である

Bulletproof Musician という英語のサイトの記事を、ランダムに翻訳するシリーズです。ミュージシャンのメンタル面に関する内容を扱っています。音楽をやっていない方でも、自己管理やマインドの問題に興味があるなら、是非ご一読下さい。


The Not Entirely Surprising Truth About What Makes Us Happy

家族でカンボジアのプノンペンに行った時のことです。
旅行中はいつも、Wi-Fiがある場所ではインターネットに接続し、重要なメールが来てないか確認します。
大した連絡はなくても、習慣のようなものです。
しかし今回、宿にはWi-Fiがありませんでした。
その結果、空港を最後に、2日間インターネットなしで過ごすことになったのです。

こんなに長くインターネットから離れたのは初めてのことです。
あらためて、自分がいかにインターネットに依存してしたかを思い知りました。
それは私に、予想以上の大きな意識の変化をもたらしたのです。


心の平穏

インターネットのない生活は、平和で心休まるものでした。
誰かのツイートやブログ、ニュースサイトの更新から離れると、自分が取り残されているのではないか、という不安から解放されます。
現実に起こっていることだけを意識し、一緒にいた家族に対しても、よりオープンにきちんと接することができるようになりました。 

それは、とても素晴らしい状態です。

その後インターネットが繋がった時には、緊急連絡がないかと急いでメールをチェックするのですが、もちろん心配は不要でした。
確かに、もっと早く返信できたメールもありましたが、どうしてもその日のうちに、というものはなかったのです。
正直に言って、仮に全てのメールを消去したとしても、大した問題は起こらなかったでしょう。
私が手元のiPhoneで何をしたところで、世界は何も変わらないことは明白なのですから。


そこにいるのかいないのか

2010年にハーバード大学のMatthew Killingsworth とDaniel Gilbert が行った研究によれば、我々の意識が現実の出来事に集中している時間は、1日のおよそ半分(正確には46.9%)に過ぎません。
残りの時間は、未来や過去など、現実以外のことを考えているのです。

例えば、メールをチェックしている時は、周りの景色には意識が行きません。
現実ではなく頭の中のイメージの世界にいると言えます。

そして、イメージの世界にいる状態では幸福度が下がることが、研究で分かっています。
どんな内容でも目の前の出来事に集中している時の方が、満足感を得られるのです。
つまり、幸福感というものは、「いま現在」に意識を向けることで得られると言えます。
それが例えば、食器を洗ったり洗濯物を畳んだりパスタを茹でたり、といった些細な内容であってもです。

Killingsworth と Gilbert によれば、
どれだけ楽しいことを想像してみても、何かに集中している時の幸福度には及びません。
もちろん、楽しくない思考であれば、その差は顕著です。
そして実際、我々は決して楽しくはない思考に多くの時間を費やしています。
マーク・トゥエインの言葉を借りれば、 “実際には何も起こっていないのに、ひどい人生を送って来た気がする” ものなのです。

この研究で明らかなように、幸福を左右するのは、何をするか、ではありません。

「いま現在」にどれだけ意識を集中できるか、なのです。


新着メッセージがあります

スマートフォンを持っていると、どうしてもそちらに意識が奪われてしまいます。
心のどこかで、何か見逃していないか、という気持ちが消えないのです。

Facebook の投稿にコメントついたかな?
メールの返信はまだだろうか?
昨日のバスケの結果は?
今日のセール品に掘り出し物はあるかな?

 iPhone のせいで不幸になった、と言うつもりはありませんし、今後も使い続けるでしょう。
それでも、たった数日とはいえ、落ち着いて何かに集中できたのは、素晴らしい経験だったことは間違いありません。 


Take action

私は、パソコンでメールをチェックするのは1日1回と決めています。
しかし、日中もついiPhoneからメールを見てしまうのです。

そういう場合、試しにスマートフォンのメールの同期設定を変更し、例えば朝9時と夜9時と決めて、12時間ごとに手動でチェックするようにしてみて下さい。
急ぎの連絡がその間どれくらいあると思いますか?
そうして様子を見るうちに、次第に頻度が減り、ネットを開くのはおそらく1日1回になることでしょう。

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