サム・クックは遠い

サム・クック「ナイト・ビート」を聞いている。
もしかしたら、今までいちばんたくさん聞いてきたアルバムかもしれない。

好きなミュージシャンと聞かれると、いつもサム・クックと答えます。
でも、実は聞くのはこのアルバムばっかりなんです。
他のレコーディング・セッションは、バンドのサウンドがいいと思えなくて。
いわゆるスタジオ・バンドの、商業的なサウンド。
ドラムはアール・パーマーだったりして、けっして悪い演奏じゃないんですが、グルーヴがあるとは思えない。
たぶん僕がここで物足りなく思うグルーヴって、リズムの良さや、いわゆる上手さ、みたいなことじゃなくて、もっと音楽的に分析不能なサムシングエルスな部分なんですよ。

サムの声は、いつでもどの曲でも、素晴らしくサムシングエルスに満ちている。
それでも、バンドの音がイマイチだと、どうしても聞く頻度が落ちます。
「Twistin'〜」とか、いいって言う人も多いけど、僕はそう思えない。
「Night Beat」だけが、唯一心から最高だと思えるアルバムです。
これだけ聞いてればいい、って気になる。
サムの声は、聞き飽きるということがない。
何回繰り返し聞いても、そのたびに心に響いてくる。
声の中の、情報量、みたいなものが圧倒的です。
このアルバムを聞くたびに、いつも感動します。

「ハーレム・スクエア」は、別格ですよ。
でも、熱がありすぎて、あれは日常的に聞くものじゃない。
あんなの毎日聞いてたら、何もできなくなっちゃう。
あと、ソウル・スターラーズ時代のも、好きです。


こないだのGWOのライブで、「ナイト・ビート」の3曲めに収められている"Mean Old World"をやったんです。
いまあらためてサムの歌を聞いてみて、自分が恥ずかしくなりました。
こんな風に、俺はとてもじゃないけど歌えていない。
歌えない、って、もちろんクラリネットで、です。
サム・クックへの憧れがあって始めたGWO。
ああ遠い。
もちろん、声と楽器じゃ違うし、サムのような高みに到達できたボーカリストなんて、そもそもいないかもしれない。
それでも、近くに行きたい、と思います。
もっと、謙虚に、真摯にやらないといけない。



そうそう、昨日はダイ&チエさんの結婚パーティでした。
参加者はほとんどミュージシャンで、ずっと誰かが演奏してる。
しかもかなりいい演奏ばっかり。
スペシャルなパーティでした。
僕は、要所要所でのBGM的な演奏を、頼まれていました。
基本、ギターの八木橋さんとデュオで。
久々にジャズっぽい演奏をしました。
八木橋さんのギターはどこを切っても音楽的で素晴らしい。
もっと僕も練習しないと。
最近は、特殊なライブばっかりやっていて、普通の演奏をしてない。
もっといろんな人と自由に音楽ができるように、しっかり地に足をつけて楽器の練習をしよう。

いい場所に音楽で参加できて、光栄でした。
だから、もっといいミュージシャンにならないと、いけないな。


と、思いました。



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