アーヴィング・ペンを知った

写真集を買いました。
『アーヴィング・ペン全仕事』

大判、194ページ。
展覧会のカタログとして編まれたものなので解説が多く、読みごたえがあります。
そのぶん写真が小さい箇所もあるけど、入門用としては、いいのかもしれない。

そう、この写真集は僕にとって、まさに写真入門。
積極的に写真を見ることは、いままでなかった。
いろんな写真に接することはあっても、かっこいいなーくらいにしか思わない。
心が動かされることが、なかったんです。
写真や絵は、分からないと思ってました。
向いてないんだろう、と。

きっかけは、先月、ポートレイト撮影の被写体になったこと。
打ち合わせ段階で、参考にと見せてくれたのが、アーヴィング・ペンの写真でした。

ピカソやマイルス・デイヴィスの写真など、見たことあるものも多い。

衝撃を受けました。
すばらしい。
それから撮影までの数日間、毎日パソコンの画面でアーヴィング・ペンの写真を眺めては、ため息をつきました。


調べてみると、ファッション写真家として有名なんですね。
VOGUEの表紙など、目にしたことのある写真も。
数年にわたってイッセイ・ミヤケの写真も手がけていて、それらは一冊にまとめられています。

「芸術」「作品」寄りのものもあって、そういうのもいいんだけど、やっぱり心が動かされるのはポートレイト写真です。
もっとじっくり見たい。
手元に置いて、好きなときに眺めたい。
と思って、写真集を買いました。
特定のカメラマンの写真集を買うのは、生まれてはじめてです。
本当は、『Portraits』という写真集がほしかったんですけどね。
高い!
これ、どこを探しても2万円くらいします。
いつか買いたいけど、いつになるか。


それにしても、この状況ってどうなの?
アーヴィング・ペンなんて、写真の歴史における重要人物のひとりでしょう。
その作品に気軽に触れることができないって。
僕が今回買った本だってもう絶版で、探して安く手に入ったからいいけど、Amazonの中古相場は8000円くらい。
ペンの写真集はだいたいどれも10000〜20000円以上します。
他に教えてもらった中で、ヨゼフ・クーデルカの作品も気になるんだけど、写真集はやっぱり安くて5000円からで、1万円以上も普通のよう。
図書館にも置いてない。

せっかく写真に興味を持っても、そこから先に進むのに敷居が高すぎます。
過去の重要作品くらい、誰でもアクセスできる環境になればいいのに。
そうしないと、わかる人だけわかればいい、「お芸術」になってしまうと、思うんですけどね。

こんなにも写真に出会いづらい現状で、アーヴィング・ペンを教えてもらえたことを、とても嬉しく思います。

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