小説を読みます

近ごろブログの更新頻度が落ちたのは、小説を読むようになったからなんです。
ずいぶん長いこと小説なんて読んでなかったから、なつかしくて新鮮です。

高校時代までは、小説をよく読んでいました。
進学校だったので、岩波文庫をたくさん読むのが偉い、みたいな価値観があったし。
外国文学が多かった。
ヘルマン・ヘッセと川端康成が好きでした。
ヘッセの遺作の豪華本みたいなのも買ったくらい。
とにかく、過去の名作をたくさん読みました。

それが、音楽が人生の中心になって以来、もう20年も前ですが、本を読むといえば、音楽関係のものばかりになりました。
図書館の「音楽」の棚にある本を片っ端から、知らない音楽家の伝記や、触ったことのない楽器や馴染みのない音楽ジャンルについて書かれた本まで、手当たり次第に借りるようになって、小説を手に取ることはなくなりました。
たまに読むことがあっても、それは音楽絡み。
音楽を扱った小説や、ブラック・ミュージックが好きなので黒人文学はかなり読んだけど、それは純粋に小説を読みたい、という気持ちとは違いました。


ずっと音楽ばっかりだったのが、去年くらいから、また映画を見るようになりました。
そして最近になって、小説をも読みはじめました。
三島由紀夫や太宰治を読み返してみたり、東野圭吾もはじめて読みました。
だんだんなんとなく、現代の小説を読みたくなりました。

現代の小説は、あまり通ってこなかったんです。
家を出たハタチごろ、まだ音楽をやる前の数年間に、少し読んだくらい。
そのころ、山田詠美が好きでした。
そうだ大好きだったな、と思い出して、読み返してみたくなりました。
図書館で、『風味絶佳』を借りました。
実はこの本、アメリカ留学中、夏休みで帰国したときに、買って読んだことがあったんです。
とても感動して、アメリカに戻るときに持って行ったのに、空港かどこかに置き忘れてしまって。

短編集です。
久しぶりに読み返して、あらためて心をうばわれました。
例によって、内容はほとんど覚えていなかったので、はじめて読む感覚で味わいました。
文章が、いい。
情感があります。
ページをめくるのがもったいないほどです。
山田詠美の作品の中でも、そしていままで読んだ本の中でも、ナンバーワンかもしれない。


約20年のブランクのあとで、小説を読む楽しさを、知った気がします。
そうしてみると、読みたい本がたくさんある。
以前はブログを書いてた時間に、小説を読むようになりました。
しばらくは、こんなペースが続くでしょう。
どうかよろしく。

コメント