初インフルエンザとライブの中止

インフルエンザにかかってしまった。
たぶん、はじめてだと思う。
少なくとも、おぼえてるかぎりでは、はじめてだ。

おかしなことに、熱はほとんどない。
普段よりほんの少し高め、つまり6度2分くらいから、6度7分になったくらいだ。
ただ、悪寒のような、といって悪寒と呼ぶには軽すぎる、ムズムズするような違和感が、身体に少しある。
そのほかは、大丈夫。
咳や鼻水がつらいわけでもない。
だから病院でインフルエンザと言われたときはおどろいた。

普通の風邪のときより、体調は悪くない、と思う。
それでも、医者は安静にしろと言う。
人にうつるから、と。
おかげで、ライブを2本もキャンセルしなくてはならなくなった。
おまけにリハーサルも。
6時間もスタジオを押さえていたのに。
悔しい。
体調不良でライブを休んだことって、いままでなかったんじゃないか。
熱が出て寝込んで死にそうなら納得できるのに、こんな中途半端な症状では、なんだか裏をかかれたようで、かえってとても悔しい。

仕方なく、関係者に連絡を取り、SNSその他で中止連絡をした。
申し訳ない。
不甲斐ない。
みんな、インフルエンザと聞いて心配してくれる。
高熱でうなされてる様子を想像したりするのかもしれない。
ぜんぜんそんなことないのに。


ライブに穴をあけるって、こんな気持ちなのか。
逆に、いままでよく経験しなかったな、とも思う。
経験してなかっただけに、こたえるのかもしれない。
本当に、いろんな人のおかげだ。

ポールマッカートニーも、体調不良で来日キャンセルしたよな。
ぼくのライブの何倍も何倍もの数の、しかも遠い国のファンの期待に答えられなかったわけで、それってどんな気持ちがするんだろう。
たぶん10年以上前、ジェフ・マルダーのカムバック後の初来日ライブの初日を見に行った。
会場で、ジェフが前の日に書いたという、日本のファンにむけた手紙が配られた。
みんな期待でワクワクしていた。
そしたら、数曲やっただけで、体調不良で演奏が続けられなくなって、中止になった。
ジェフはあのとき、どんな気持ちだったんだろう。
その日の振替公演がツアー最終日に追加されて、それは素晴らしいライブだった。
演奏の内容だけでなく、初日の様子、ブッキングしていたトムズ・キャビンの対応、ジェフの手紙、ぜんぶが一緒になって、特別な思い出だ。
最終日、ジェフはどんな気持ちで演奏してたんだろうか。

ライブって、人生のいっときを切り取って見せるようなことだ。
だから当然、病気のときもあれば、人によっては落ち込んで酒浸りのことだって、あるかもしれない。
それで、いいんだと思う。
機械じかけの製品じゃないんだから。
はやく治して、この先も演奏を続けたい。


みなさま、今回は、本当に申し訳ありませんでした。


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